映画ログ1



 「夕凪の街 桜の国」(2007)
監督/佐々部清

絶賛された原作と比べるのは酷なのでは。

■(夕凪の街)1954年の広島。原爆から生き延びた皆実は同僚から告白をされたが、それが受け入れられずにいた。(桜の国)それから50年経った2005年。七海は夜に家を出た父親の後を追う。父が向かった先は広島であり……。
 こうの史代の同名漫画の映画化。原作漫画は各界から大絶賛されましたが、映画はそうでもなかったのかなーという印象。個人的にあの原作は大好きで何回も読み返しました。私があの原作が好きな理由は、語らずしてしかし明確に語りかける何かなのです。しかし割と映画だとそういう部分は台詞や場面の補完によって描かれてしまっているので、仕方がないとはいえ、そこが残念な部分でもあるのかな。しかしそれを除けば良心的でいい作品なのでは。「夕凪の街」「桜の国」の二部で、どちらがより良い出来かと言われたらそれは前者の「夕凪の街」でしょう。田中麗奈もリリカルな魅力があるのですが、とにかく麻生久美子が超カワイイ。とりあえず原作と比べるのは酷すぎると明記しておきます。


「アラビアのロレンス」(1961)
監督/デヴィッド・リーン

誰もが認める名作。だけど、あと5年は見返さなくていいや(苦笑)
■1935年、あるイギリス人がバイク事故で死去する。その人物の葬儀には沢山の人が訪れ、銅像まで建てられることになった。イギリス人の名はトマス・エドワード・ロレンス。ロレンスは銅像まで立てられるほどの人物なのか? そこから舞台は1917年に移行する……。イギリス人将校、トマス・エドワード・ロレンスを主人公にした、アラブ独立戦争を題材にした歴史映画。上映時間200分という長さで、1部ではアラビアを舞台にした戦記ものとして楽しく見られたが、2部の大半はロレンスが徐々に狂っていく。もう2部は見ていて辛かった(苦笑)。ひっじょうに体力を使う映画だなぁ、と思ったので、疲れている時にはお勧めしません。個人的には、あと5年は見返さないです(爆笑)。しかし見ることがつらいという個人的な感想を除けば、不朽の名作であることには変わりはない。砂漠の映像やロレンスがラクダを走らせるシーンはとにかく美しい。

 

「Chatroom/チャットルーム」(2010)
監督/中田秀夫

引きこもりの男の子がチャットルームでエセカウンセラーに大変身。

■ネット上で知り合った5人の男女が繰り広げる心理劇。あるチャットルームの管理人であるウィリアム(アーロン・ジョンソン)は4人の若者とネット上での友人となる。そのチャットルームで知り合ったジムを、ウィリアムは少しずつ自殺へと追い込んでいく……。ネット上のチャットルームを現実のように撮影するのはよかったのですが、「自傷癖あり」「自殺動画を見るのが好き」なウィリアムが何故、ジムを自殺に追い込んでいくか、という理由の部分が弱かった気がします。ジムを自殺に追い込んでいく描写は結構描かれているから余計気になりました。ハラハラはするけれど、魅力は今一つな感じ。引きこもりとチャットルーム(ネット上)での不敵さを使い分けたアーロン・ジョンソンもいいのですが、「17歳の肖像」(2008)にも出演していたマシュー・ビアードの全編に渡る薄幸さが個人的には好きです。

 

「譜めくりの女」(2006)
監督/ドゥニ・デクレール

復讐劇であり、百合映画でもあるという。

■メラニーはピアニストを目指す女の子。その為にコンセルヴァトワールの試験を受けるのだが、ある高名なピアニストの試験中にあるまじき態度により演奏を中断してしまう。数年後、美しく成長したメラニーはある弁護士の元で実習生になる。弁護士の妻は、試験の時のあのピアニスト。メラニーはそのピアニストに近づき、ピアニストの「譜めくり」となり……。とにかくこのメラニーの行動は「復讐」を軸にされているからか、ためらいがない。セクハラしたチェリストの男に、無表情でチェロの先端を足の甲にぶっさすシーンは必見。復讐相手から「あなたは理想の譜めくりよ」といわれても、嬉しくないよねぇ。復讐者メラニーの冷静さと巧妙さが光る。80分という映画ではけして長くない中で、女の子の復讐を徹底的に描ききった一作。そして、百合映画であるという。いやー、女の恨みって怖い。

 

「築地魚河岸三代目」(2008)
監督/松原信吾

魚の匂いのする大沢たかお。

■ビックコミックで連載されている同名漫画の映画化。大沢たかお主演で、映画は「魚の匂いを身に纏い魚の匂いすらさわやかにしてしまう大沢たかおの映画」と考えました。テレビドラマ版の「仁 −JIN−」を見た後からか、個人的にやけにカッコよく見える大沢たかおですが、会社を止めた挙句に婚約者の実家で強引に働かせてもらうっていう行動は一体何なんだろう。作中での大沢たかおの行動は結構ムチャクチャな気がしますが、それでも大沢たかおが演じるとそれもありなのかもしれないという良く分からない説得力があるからタチが悪いです。

 

「グリーン・ディスティニー」(2000)
監督/アン・リー

ワイヤーアクション超かっこいい!

■ワイヤーアクションを使った初期映画。主演はチョウ・ユンファ、ミシェール・ヨー、チャン・ツィイー。「グリーン・ディスティニー」という剣をめぐる、女と女、男と女の物語。もう皆かっこいい。チャン・ツィイー扮するイェンが、可愛くて強いという、まさにライトノベルのヒロインといった感じのじゃじゃ馬で見ていて面白い。

 

「エコール」(2004)
監督/ルシール・アザリロヴィック

これが好きだという野郎には絶対に会いたくない。

■深い森の中、少女たちが学校に通いながら生活している。そこはエコール。少女たちは日々、バレエと自然の生態を学んでいる。そのエコールに、イリスという一人の少女が連れてこられる……。これはヤバい。見ているだけでじっくりと少女を視姦している感じ。自分がロリコンではないかと思っている男の人で、「エコール」を見て「これはあかん」と思った人は、ロリコンではないので安心してください。だから私は、野郎で「エコール」が好きだと言う人には絶対に会いたくないです。

 

「借りぐらしのアリエッティ」(2010)
監督/米林宏昌

翔君に気合が入っている感じがする。

■借りぐらしをする小人と人間の交流、そして初恋を描いた作品。
 小人の借りぐらし、のシーンが面白かったのと、神木隆之介君扮する病弱な少年翔君の、不思議系鬱少年さがとても好きです。ただ、アリエッティや翔君の初恋の様子が私には脳内で補完しないといけないような感じがしました。ちょっとテーマが詰め込み過ぎかなぁ。。翔君のアリエッティに対する最後の台詞にも、あまり釈然としていませんかね。個人的には翔君の不思議系鬱っぷりには、これ、神木隆之介にやらせるためにこうしたのか……? という印象がぬぐえない(笑)。ウィキペディアでは要出典になっていたけど、どうやら翔君は最初から神木隆之介をイメージして作られたキャラクターだそうで。分かりきった事ですが、ジブリの中にもショタコンが数人いたって事です。現時点(2011年で)「千と千尋」以降のジブリを見ていないのですが、何となく監督には期待したい。

 

「ヘイフラワーとキルトシュー」(2002)
監督/カイサ・ラスティモ

フィンランドに移住したくなる映画。

■しっかりもののお姉ちゃんのヘイフラワーは、来週から小学校入学。それなのに家は家事の出来ないお母さんに、芋の研究ばかりのお父さんで、おまけに妹のキルトシューは超ワガママ。ヘイフラワーはそのことが心配でならない。どうにかしたいとヘイフラワーは思うのだが……。とにかくポップでキュートな映画。それなのにちょっとカオスで不思議な感じなので、ムーミンの国から来たということもむべなるかな。やさぐれた女の子の心を500メートル離れたお隣さんがパン生地セラピーで癒すなど、ちょっと不思議なセンスもたっぷり。幼女映画ということなかれ。楽しい映画ですぞ。

 

「薬指の標本」(2005)
監督/ディアーヌ・ベルトラン

原作者公認の標本室。

■小川洋子の同名小説をフランス映画化。小川洋子の小説は、薬飲んでうへへって感じの幸せ感が持続するような感じの変態性がある。エロだけではなく、作品全体の空気が。「薬指の標本」ではそれが顕著。そして映画でもそれは健在。標本室というあの異空間を、よく映画にしてくれました。この映画は恐らく、日本人のセンスじゃ無理でしょう。理由は、何となくですけれど(苦笑)。

 

「サマーウォーズ」(2009)
監督/細田守

理系の少年に萌えた。

■架空のネット世界OZが存在する現在。アニメの中でさらにネット世界が展開される、というのは、楽しいけど結構疲れました。個人的には映画で展開されるネット世界OZも勿論ですが、憧れの先輩の家に行っちゃった純情理系少年のドキドキ感やら奮闘やら、その大家族に注目した方が楽しめる気がします。
2010年8月に金曜ロードショーで2時間短縮版(CM時間含む)が放送されたけれど、この映画は2時間でまとめ無い方がよろしいのでは。初めて見る人間にも違和感のないように編集した細田監督の手腕は凄いが……。細かいところまでファンの印象に残るような映画になっているんだなと再確認しました。だって甲子園の息子無かった事にされてるよ!

 

「パラノイドパーク」(2007)
監督/ガス・ヴァン・サント

その少年の横顔に見惚れる。

■うっかり(しかし結構手酷く)人を殺してしまった少年が、うだうだしてもやもやする映画。そのうだうだしてもやもやするのが、80分続くと言っていいかもしれません。うだうだしている間に、両親が離婚したり彼女に逆レイプされたり、いろいろ忙しい。演技経験のないという主演のゲイブ・ネヴァンスの横顔がとにかくいい。綺麗。監督は横顔フェチなのか……? 雰囲気美少年なだけか……?と思いながらも、思春期の少年の不安定な揺れが見えてくるので好きです。

 

「クララ・シューマン 愛の協奏曲」(2008)
監督/ヘルマ・サンダース=ブラームス

陽気なブラームスとカリカリしたシューマン。

■作曲家、ロベルト・シューマンの妻にしてピアニストであったクララ・シューマン。シューマン、クララ、そしてシューマンを尊敬しクララを敬愛するブラームスの三角関係のお話。個人的にブラームスの曲は重いという印象があったので、子供と一緒に遊んだり手すりから落ちたりする破天荒なキャラクターなのは新鮮でした。対称的に、「クララとブラームスは不倫しているのか」と疑うシューマンの、病んでいく姿はとても痛々しい。不倫疑惑のあったクララとブラームスですが、この映画の二人はプラトニックであったというラストが個人的にはいい。そしてブラームス役のマリック・ジディは妙にイケメンでした。

 

「SAYURI」(2005)
監督/ロブ・マーシャル

日本の美は、チャン・ツィイーよりも中野友加里

■戦前・戦中・戦後を生きた芸者の一代記だが、、個人的に凄く気になったのが、日本軍が持っている銃。「そんな銃日本軍絶対もってねえよおおお!」と思いました。「さらば我が愛/覇王別姫」の時から変わらない美貌を保ち続けているコン・リーに脱帽です。
二回みた内、一回は倍速で見ましたが、全然大丈夫でした。髪型とかふすまとかが、やはりどこか中国ちっくなのが気になります。チャン・ツィイーは美しいが……、チャン・ツィイー主演の映画「SAYURI」を見るよりも」、06ー07シーズンの中野友加里選手の、同映画のサウンドトラック使用のショートプログラム「SAYURI」を見る方が、ずっと日本の美を感じるのは私だけ? 

 

「センターステージ」(2000)
監督/ニコラス・ハイトナー

スケオタの悲鳴は「クーリックの出番がもっと欲しかった」(笑)

■「昴」(後述)とは違い、バレエダンサーがバレエダンサーを演じる。ので、下手を演じるのも上手い。この映画で、長野五輪男子シングル金メダリストのイリヤ・クーリックが銀幕デビュー(その後の映画作品は無いが)。クーリックの動きは長野五輪男子シングル表彰台3人衆(エルヴィス・ストイコ(銀)、フィリップ・キャンデロロ(銅))の中でもバレエ的要素が際立っていたので、本職の中に混じってもそんなに違和感はありませんでした。最後の演目、あれ、やっちゃってよかったのか……? 実話混じってるじゃんっていうか、実話じゃん。やっぱりバレエの映画は、ダンサーがやってこそ、と思わせたものでもありながら、「クーリックの出番もっとくれよおお!」とスケオタは叫ぶのでした。

 

「ククーシュカ ラップランドの妖精」(2002)
監督/アレクサンドル・ロゴシュキン

DVDパッケージは盛大なネタバレ。

■第二次世界大戦中のフィンランドのラップランドで、サーミ人の未亡人とフィンランド人将校とロシア人将校が共同生活をする話。勿論言葉は通じない。が、見ているこっちは字幕で何言っているか分かるので「それ通じてねえよおお!」とハラハラするのが楽しかった。旦那が戦争に行ってしまったサーミ人の女性は、4年間男性を見ていなかった。ので、ちょっと触られた時の「触らないで、濡れちゃうから」という訳のひどさもいい。それだけで1分は爆笑しました。
基本的に面白い映画でしたが、DVDパッケージだけはいただけません。だってあれ、盛大なネタバレ。

 

「昴-スバル-」(2008)
監督/リー・チーガイ

メイサちゃんが頑張った映画。

■DVDにはカットシーン集がたくさん収録されていたが、「何故これを本編で入れない!」と一人で憤慨。カットシーンをおまけで入れるのは分かるが、おまけにしちゃいけないところばっかり入っててびっくり。普通カットシーンとは、「映画上入れられなかった・入れる必要がなかった」部分を収録したやつじゃないのか。
原作は知らないので何とも言えないのですが、純粋に映画だけを見たのでは、ストーリーはボロボロですが、黒木メイサの努力は感じる。昴の踊り、吹き替えじゃないみたいです。数か月でトウシューズまでたって踊れるようになった努力はとても素晴らしい。なので、黒木メイサが問題なのではなく、これはもう脚本やスタッフの問題なんだろうなと思った。バレエ界の事情はしっているのか……? という基本を抑えているかが非常にあやしい。原作を知る知らない以前に、映画として破綻しているっていうのがどうなんだろう。でもメイサちゃんの魅力がみられるなら……。
とにかくこれは、黒木メイサががんばっただけの映画で、それ以上ではないと思う。

 

「俺たちフィギュアスケーター!」(2007)
監督/ウェル・スペック&ジョシュ・ゴードン

この映画のせいで、露選手での男×男のペアが生まれました未遂がおきました。

■男×男のペアを描いたフィギュアスケートのコメディ映画だが、非スケオタでもスケオタでも十分に楽しめる。ミシェル・クワンがネタになっていたり、サーシャ・コーエンがカメオ出演していたり、佐藤有香が登場していたり、挙句の果てにはスコット・ハルミトン(サラエボ五輪金)、ブライアン・ボイタノ(カルガリー五輪金)などいるので「あそこにあの選手いたって!」と探すのも楽しい。これってアメリカだから出来るんだろなー。公開されたのは07年ですが、この作品の大会では全て旧採点法で採点されていたりする。確かにこの作品の演技を新採点法で採点するのは、無理だろう。そんな「エレメンツが全て絶対評価される新採点法なんて無粋なんだよ!」と言わんばかりの奔放な演技が楽しい。某国で生み出したと言うあの技は、みた感じデススパイラルとスロージャンプを足して二で割ったようなもの。一体どのエレメンツに入るのか。
この映画のせいか、08年のヨーロッパ選手権のエキシビション練習で、セルゲイ・ヴォロノフ選手とマキシム・トランコフ選手のスロージャンプがみることが出来ました。それが、これ。どうやら本番ではやらなかったらしいですが。。。新採点法に見慣れた人は一回は見るといいのでは。

 

「愛の嵐」(1974)
監督/リリアーナ・カヴァーニ

誰もが認める名作。だけど、あと10年は見返さなくていいや(苦笑)

■ナチスドイツの親衛隊の生き残りのマクシミリアンと、指揮者の妻のルチア。ルチアはマクシミリアンが13年前収容所で弄んだユダヤ人の少女で、この二人が再会するところから物語が始まる。マクシミリアンとルチアは駆け落ち状態で逃げるが……。見るのがつらかった。正直、最後見ている私にも「これで終わった。やっと苦しみから抜け出せた!」という解放感があった。美人(ルチア)が上半身裸サスペンダーでナチ帽をかぶって踊るところがハイライトシーン。二人が兵糧攻めされるシーンがあるんだけど、食べるもんが無くなって飢えると、やっぱり人間って精神的にこたえるのだなぁと思った。

 

「KIDS」(2008)
監督/荻島達也

物を動かす、から、傷を動かす?

■短編集「失われる物語」から、原作者の乙一が「読み返すのも恥ずかしい」と言った作品の映画化。乙一にとっては羞恥プレイだったのでは……と思ってしまう。それとアサト(小池徹平)の元々の能力は「ものを動かす」というものだったのに、いつの間にか「傷を移す」というものにすり替わっている。「ものを動かす」という能力から後者が派生したと考えるのがいいのだが……。
個人的には「幸せは子猫のかたち」で映画を作って欲しかった。玉木宏、小池徹平、栗山千明と、キャストだけは結構豪華。何故このキャストにしたのか(苦笑)。長編にするにはちょっと無理があったんじゃないかなーという感じがぬぐえない。

 

 

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